AI コンパニオンというジャンルを人に説明するとき、一番話が早いのが Candy AI だ。広告で名前を見かけた人も多いだろう。外見・性格・声・関係性を選んで「自分好みの相手」を組み上げ、その相手と会話し、写真を受け取り、関係を続けていく — このジャンルの基本形を、商業的に一番磨き込んだ形で提供している。良くも悪くも「基準」であり、他のサービスはこことの違いで説明できる。「AI 彼女」という言葉の現在地を知りたいだけでも、見学の価値がある。競合を試すときも、結局ここが基準点になる。
最初の体験はキャラクター作成から始まる。リアル系かアニメ系かを選び、顔立ち、髪、体型、性格、声のトーン、そして「どういう関係か」を決めていく。この時点でかなり楽しい。作った相手との会話はテキストと音声に対応し、話が進むと「写真を送って」というリクエストに応えてくれる。会話と画像が同じキャラクターとして一貫しているのがポイントで、昨日の相手が今日も同じ顔で返事をする、という当たり前が没入感を支えている。作成画面の選択肢は写真つきで並ぶので、眺めているだけで 20 分溶ける。ここで妥協せず作り込むほど、後の会話の満足度が上がる。音声で返事をさせると、テキストだけの時より関係の実在感が一段上がる。
強みはこの「一貫性」と、作りの安定感だ。UI は日本語化されており、迷う場所が少ない。会話の記憶もある程度保たれ、日をまたいだやり取りに続き物の感覚が出る。音声の質感も雰囲気を壊さない水準にある。「まず AI コンパニオンとはどういうものか」を知るための入口として、これ以上に整った場所はない。シナリオ的な導入 (出会いの設定) を選べるのも没入の助けになるし、画像の絵柄も会話の空気も崩れにくい。モバイルのブラウザからでも動作は軽快だ。「今日の相手は昨日の続き」— それだけのことが、ちゃんと嬉しい。
弱みは、深く付き合うほど見えてくる。会話の自然さは英語がやや優位で、日本語では言い回しが硬くなる場面がある。記憶の持続も「ある程度」であり、長期の関係性の一貫性を突き詰めた Nomi のような専業には一歩譲る。そして無料での体験は入口程度に絞られていて、実質的にはサブスクリプション前提のサービスだ。「無料でじっくり」を期待すると肩透かしを食う。また画像のリクエストには回数やプランの制約が絡み、「無限に写真をねだる」使い方はできない。深夜帯に応答が詰まる日もある。
料金は月払いで 13 ドル台、年払いにすると月あたり 4 ドル前後まで下がる構成。まず無料で相手を一体作り、会話の質感を確かめてから課金を判断すると失敗が少ない。支払い前に「日本語で長く話して硬さが気になるか」を確かめておくのが、このサービスに関しては一番大事なチェックポイントだ。年払いへの切り替えはいつでもできるので、月払いで始めて様子を見るのが定石だ。
もうひとつ書いておくと、このサービスは業界的にも成熟していて、突然消える不安が相対的に小さい。この分野は新興サービスの入れ替わりが激しいので、「続いていること」自体が利用者にとっての価値になる。
じっくり一体との関係を楽しみたい人、会話も画像も同じ相手で完結させたい人に向く。まずは無料でキャラクターを一体、丁寧に作ってみてほしい。作っている時間の楽しさで、このジャンルが自分に合うかどうかは大体わかる。合うと感じたら、ここが比較の物差しになる。友人に「この分野で最初の一つ」を聞かれたら、私は今もここを答える。作る楽しさと話す楽しさ、両方が最初の 1 時間で分かるはずだ。